更年期
当院では、女性ヘルスケア専門医である小川真里子医師による更年期外来を設けています。(月曜日AM)
HPもしくはLINEからご予約が可能です。
更年期とは閉経前後の10年を言い、更年期に起きる様々症状が日常生活にも支障をきたすものを更年期障害と言います。
原因は女性ホルモンの低下ですが、加齢などの身体的因子のほか、心理的因子、社会的因子が複合的に関与することで発症すると考えられています。
症状には、のぼせ、ホットフラシュ、発汗などといった血管の拡張と放熱に関係する症状、めまい、動悸、頭痛、肩こり、冷え、疲れやすさといったさまざまな身体症状、また気分の落ち込みや意欲の低下などの精神症状も認めます。
治療はまず十分な問診を行い、生活習慣の改善や心理療法を試み、それでも改善しない場合は薬物療法を行います。
薬物療法には、ホルモン補充療法、漢方療法、向精神薬療法があります。
参考資料はこちら(富士製薬HPより引用)
【日本女性医学学会 動画資料】
●更年期を心地よく過ごすために知っておきたいこと(基礎知識)
●正しい知識で選ぶ!更年期を健やかに過ごす治療法(更年期の治療法)
●毎日の生活から改善!更年期のセルフケアとは(更年期のセルフケア)
月経不順
通常月経周期は25~38日ですが、月経の間隔がこれよりも大幅に長くなったり短くなったりするものが月経不順です。
原因はホルモン異常、体重増減、ストレスなど多岐に及びます。ライフスタイルや挙児希望の有無によって適切な治療法を提案いたします。
子宮筋腫
【子宮筋腫とは】
子宮筋腫は子宮の筋層にできる良性の腫瘍で、小さなものも含めると、30歳以上の女性の20-30%にみられ、貧血や痛みなど様々な症状の原因となります。
筋腫は女性ホルモンによって増大し、閉経すると徐々に小さくなります。
大きさや発生部位により症状が異なり、粘膜下筋腫、筋層内筋腫、漿膜下筋腫に分けられます。
【症状】
主な症状は、過多月経と月経痛です。その他不正出血、腰痛、頻尿などがあります。時に不妊や習慣性流産の原因にもなります。
粘膜下筋腫は小さくても症状が強く、過多月経となります。反対に子宮の外側にできた筋腫は大きくなっても症状がでにくい傾向があります。そのため、治療適応も治療方法も、状況により様々です。
【治療法】
治療には薬物療法と手術療法があります。小さくて、無症状の場合は治療の必要はありません。
手術には子宮全摘術と筋腫核出術があります。今後の挙児希望などにより術式を決定します。
最近は腹腔鏡手術が選択されることが多くなりました。
薬物療法には月経を止める治療(偽閉経療法)や、女性ホルモンの低下を防ぎながら治療する方法もあります。
また、子宮筋腫の栄養血管に塞栓を作り子宮筋腫を縮小させる治療もあります。
現在の症状・年齢・大きさ・発生部位・挙児希望の有無などにより、治療法を選択します。
卵巣腫瘍(卵巣嚢腫)
卵巣腫瘍には機能性嚢胞といった月経に伴うホルモンに変化により偶発的にでき自然消失するものから、抗がん剤も効きにくい悪性腫瘍まで、その種類は多岐に及びます。
当院では超音波や腫瘍マーカーを用いて腫瘍の状況を把握します。
必要があれば外部の画像センターにてMRIを施行し評価した上で、経過観察や薬による治療を行い、あるいは手術が必要な際は適切な医療機関をご提案いたします。
おりものの異常
おりものは通常子宮に細菌が入るのを防止したり、また精子が子宮内に到達するのを手助けしたりしています。
生理周期でおりものの様子が変化するのが普通ですが、おりものがいつもと違う色や匂いの場合には病気を疑う必要があります。
一般的な細菌や真菌(カンジダなど)による炎症や、クラミジア・淋菌・トリコモナスといった性感染症が原因のこともあります。原因に沿った薬による治療を行います。
性感染検査(sexually transmitted diseases: STD、性病)
性交渉によってうつるもので、クラミジア・淋菌・梅毒・淋菌・性器ヘルペス・尖圭コンジローマ・腟トリコモナス症などがあります。STD予防にはコンドームが有効です。
STDは異常な帯下や腹痛・腰痛・かゆみなどの原因になります。治療が遅れると、日常生活が快適に送れないばかりか、完治まで時間がかかったり。将来不妊の原因にもなりうるので、早めの治療が必要です。採血による検査と内診および状況で咽頭の検査が必要となります。
それぞれの性感染症について、より詳しい情報はこちらをご覧ください。
下腹部痛
女性の下腹部痛は婦人科の病気によるものと胃腸障害によるものが主です。
婦人科では、子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣腫瘍、膀胱炎、性感染症(STD)などが下腹部痛の原因になります。
STDや腟炎の一部は卵管や下腹部全体に炎症を及ぼし(骨盤腹膜炎)、入院での抗生剤治療や、手術が必要となることもあります。超音波とその他必要な検査にて早めに診断し、抗生剤や鎮痛剤、ホルモン剤(ピル等)で治療します。
外陰部の異常
外陰部に異常を認めるものとして、単なる外陰炎以外に性器ヘルペスや尖圭コンジローマ・バルトリン嚢腫などがあります。
性器ヘルペスは異常帯下や潰瘍や水疱を形成し激しい痛みを伴うため、早急に治療が必要となります。
尖圭コンジローマは、塗り薬で軽快しない場合は他院でのレーザー治療をご案内いたします。
子宮頸管ポリープ
子宮の頸管にできる腫瘍で、そのほとんどが良性です。ごく小さいものから小指大まであります。
不正出血の原因になったり妊娠中の感染の原因になったりするため、症状や大きさによっては切除が必要となります。
通常ほぼ痛みを伴わずに外来で容易に切除することが可能です。
ミレーナ
ミレーナ(レボノルゲストレル放出子宮内システム:LNG-IUS)は2007年に発売され、黄体ホルモン(プロゲステロン)を子宮の中に持続的に放出する子宮内システム(IUS: Intrauterine System)です。
T字型の柔らかいプラスチックでできた約32mmの子宮内避妊用具(IUD)の一つで、1回の挿入で5年間の避妊が可能です。
また、過多月経・月経困難症の治療薬として国内外のガイドラインですすめられ、現在世界約130カ国、延べ約3,900万人の女性が使用しています。
日本では2014年から、過多月経や月経困難症の治療として、保険が適応されるようになりました。

【ミレーナの効果】
●過多月経、月経困難症の改善
ミレーナから放出される黄体ホルモン(レボノルゲストレル)は、子宮内膜の増殖を抑える働きがあるため、内膜は薄い状態となり、月経量を減少させるとともに月経痛を軽くします。
●避妊効果
ミレーナによる物理的な着床阻害や、ミレーナから放出される黄体ホルモンにより、子宮の内膜が薄くなることにより妊娠の成立(受精卵の着床)を妨げたり、子宮の入り口の粘液を変化させて精子が腟の中から子宮内に侵入するのを防ぐことで避妊効果を発揮します。

【ミレーナのマイナートラブル】
ミレーナを装着後数日間は出血、下腹部痛、腰痛、おりものなどの症状があらわれることがあります。
その後も、月経の出血日数の延長、月経時以外の出血、月経周期の変化、一時的な卵巣嚢胞を認めることがあります。
自然滑脱が2-10 %とされ、出血・疼痛・滑脱で、約20%の人が1年以内にミレーナを中止しています。
また、稀ですがミレーナの子宮筋への穿孔、骨盤内炎症性疾患(骨盤腹膜炎)、異所性妊娠(子宮外妊娠)が起こることもあります。
通常数か月間は月経時以外の出血を認めることがありますが、時間とともに減少し次第に月経回数も減り、約20%は無月経となります。
妊娠する可能性が5年で0.5%といわれ、妊娠を疑う症状があればすぐ受診してください。

【ミレーナ挿入後の検診】
ミレーナは装着後1か月後、3か月後、6か月後1年後、それ以降1年に1回の検診が必要です。
検診では超音波検査にてミレーナの位置の確認をします。5年で交換となります。
【ミレーナご希望の方へ】
ミレーナは月経4-7日目に挿入します。
子宮体がん・子宮頸がん検査を行っていない場合は、挿入希望日の約2週間前に一旦来院していただき、がん検査等施行してからの挿入をお勧めします。子宮の形に異常がなく経産婦さんなど入れやすい場合は約5分で挿入が終了します。
通常麻酔や鎮痛剤は使用ありませんが、念のため鎮痛剤と感染予防の抗生剤をお渡しします。
子宮の形に異常があったり、子宮の向きが悪かったり、子宮の入り口(子宮頸管)が狭い方は、挿入できないことがあります。
料金は避妊目的の場合は自費になりますが、月経困難症や過多月経を認める方は、保険診療にてミレーナの挿入が可能です。
(図はすべてバイエル薬品HPより引用)
一般不妊治療
女性の生活スタイルの変化と社会進出により晩婚化が進み、不妊で悩むカップルが増え、現在14人に1人の新生児が体外受精(IVF)にて出生しています。
当院では卵胞チェックによる不妊タイミング指導・ホルモン検査・卵巣年齢検査(AMH)を用いた今後の治療相談を行っています。体外受精(IVF)が必要な方は適切な医療機関をご提案いたします。
卵子凍結相談
女性の社会進出が進み、出産年齢が年々上昇し、歳を重ねても若々しい女性が増えていますが、卵巣機能は年齢とともに低下し、受精卵になる際の染色体異常の確率は年々増加します。
若いうちに卵子凍結をしておくことで、将来キャリアを積んでお子さんを希望されたとき、採卵時の年齢の若い卵子で現年齢より高い妊娠率を得られる可能性もあります。
当院では女性医師による相談のみで、実際の卵子凍結は適切な医療機関をご提案します。