当院では不妊検査・タイミング法までを行います。
体外受精・人工受精をご希望の場合は、杉山産婦人科をはじめとする他院へ紹介いたします。
また、ブライダルチェックという名目ではありますが、妊活・不妊検査目的での検査セットもご用意しております。
基本的な内容を網羅した、お得にお受けいただけるセットプランがございますので、詳細はこちらをご覧ください。
Contents
不妊症とは
不妊治療の種類
効率的な妊活・不妊検査のスケジュール
男性パートナーの受診・精液検査
不妊治療保険適用について
卵子凍結相談
不妊検査証明書等の書類
書類作成依頼方法
不妊症とは
不妊とは、妊娠を望む健康的な男女が避妊しないで性交渉しているにも関わらず、一定期間妊娠しないものを指します。
日本婦人科学会ではその期間を1年間としていますが、アメリカの生殖医学会は女性の年齢が35歳以上の場合は、6か月の不妊期間で検査することも考慮されるとしています。
不妊期間が1年未満でも早めの検査・治療を検討してみてください。
不妊症の割合
子どもを持ちたいと思っても妊娠しないカップルは5組に1組ともいわれています。
体外受精で生まれる子どもは年々増加しており、2021年(2023年時点での最新データ)には11人に1人となりました。
不妊症の原因
不妊の原因は複数の因子が重複していたり、検査上は原因不明の方も沢山いらっしゃいます。
🚺 女性側
『排卵因子(排卵障害)』『卵管因子(閉塞/狭窄/癒着)』『子宮因子(子宮筋腫/内膜ポリープ)』『頸管因子』『免疫因子(抗精子抗体など)』等
🚹 男性側
『造精機能障害(精子の数が少ない、運動率が低い)』『性機能障害(勃起や射精がうまくいかない)』『精路通過障害(精子の通り道に異常があり精液中に精子がいない)』等。
不妊症のリスク因子
🚺 女性側
『月経異常(月経周期の異常/量の異常/月経困難症)』『性感染症(クラミジア/淋菌等)』『骨盤腹膜炎の既往』『子宮筋腫』『子宮内膜症』『年齢(35歳以上)』等。
子宮内膜症は症状にもよりますが、1周期あたりの妊娠率が子宮内膜症がない方の10分の1といわれ、また不妊症の方の20~50%に子宮内膜症を認めると言われています。
🚹 男性側
『精索静脈瘤』『停留精索静脈瘤』『停留睾丸』『鼠経ヘルニア術後』『おたふくなど高熱による睾丸炎の既往』『前立腺炎』『放射線治療や抗がん剤の既往』等。
また日常生活において、肥満、喫煙、寝不足などの不規則な生活や不健康な食事等も原因となるので、日頃から注意が必要です。
不妊治療の種類
不妊治療にはタイミング法、排卵誘発法、人工授精、体外受精(顕微授精など)があります。
また内視鏡手術(子宮鏡、卵管鏡、腹腔鏡)も行われます。
1⃣ タイミング法
排卵を予測して、性交のタイミングを合わせる方法です。
超音波にて卵巣内の卵子が入っている卵胞という袋の大きさを測定します。
通常20mm程度で排卵するため、補助的に尿検査にて排卵を促すホルモン(LH)を測定し、排卵日を推定します。排卵の2日前から排卵日までが妊娠しやすいです。
2⃣ 排卵誘発法
排卵誘発剤といわれる内服薬や、注射を用いて、卵巣を刺激し排卵を起こす方法です。
通常は無排卵や排卵しにくい方に用います。
3⃣ 内視鏡手術 ※他院へご紹介
卵管鏡は卵管閉塞にチューブを通して、閉塞している卵管を通過させ、その後の自然妊娠を期待します。
腹腔鏡は検査目的に施行する場合もあり、卵管周囲の癒着や子宮内膜症などを診断し、観察時に同時に癒着剥離や卵巣嚢腫摘出や卵巣嚢腫焼灼を行います。
4⃣ 人工授精(AIH) ※他院へご紹介
人工授精は受精卵のできる卵管膨大部に、排卵日に合わせて十分な精子を送るために子宮空内に精子を注入する方法です。
通常は精子を洗浄することで、子宮収縮を促すプロスタグランジンなどを取り除き運動性の良い精子を集めて0.2-0.5ml程度を排卵日に子宮内に注入します。
乏精子症、精子無力症、性交障害、フーナーテスト不良などが良い適応です。
ただ調整後の運動精子が200~500万以下の場合は、体外受精(顕微授精)が勧められます。
状況により誘発剤(内服薬や注射)を使用し、排卵に合わせて人工授精(AIH)を行います。
人工授精は6回程度で新たに妊娠してくる方が少なくなるため、体外受精(顕微授精)への切り替えを検討します。
効率的な妊活・不妊検査のスケジュール
効率的な妊活・不妊検査のスケジュール

検査内容
🚹 男性側:精液検査
男性不妊専門クリニックで採用されている機器使用
禁欲期間:1~4日以内
採精後:2時間以内
🚺 女性側
1⃣ 生理中ホルモン採血(生理2~5日目)
・FSH(卵巣刺激ホルモン)
下垂体前葉から分泌される卵胞発育や排卵に必要なホルモンです。
基準値として通常、卵胞発育前の月経3日目頃に値を測定します。
10IU/L以下が望ましく、高値の場合、卵巣機能が低下していることが予測されます。
・LH(黄体ホルモン)
下垂体前葉から分泌される卵胞発育や排卵に必要なホルモンです。排卵時期になると一過性に高値(LHサージ)となります。FSH同様、卵胞発育前の月経3日目頃に値を測定します。
通常はFSHの約半分の値でFSHと合わせて高値の場合、卵巣機能が低下していることが予測されます。LH>FSHの場合は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が疑われます。
・PRL(プロラクチン、乳汁分泌ホルモン)
下垂体から分泌される乳汁分泌に必要なホルモンです。高値の場合、卵胞発育の際に良い卵が発育しなかったり、卵胞発育を認めないこともあります。
また着床障害など妊娠成立に不都合を生じることがあります。著しく高値の場合は精査の必要があります。正常値:30ng/ml以下
・E2(エストラジオール)
E2は主に卵胞の顆粒膜細胞から分泌されます。
卵胞発育とともに分泌されるホルモンで、月経中50pg/ml以下であれば正常です。
低温期では子宮内膜の発育や頸管粘液分泌に関係します。
2⃣ 卵管通水検査(生理後~排卵前まで)
生理食塩水を子宮の入り口から注入し、子宮の内腔を充満させることによって、子宮の内膜の状態、ポリープや粘膜下筋腫の有無などを確認し、生理食塩水が左右の卵管にスムーズに入っていくかによって、卵管の通りを評価する検査です。
※卵管造影検査→当院に設備がないため、施行を推奨する場合及びご希望の場合は他院へ紹介します。
3⃣ 子宮鏡検査(生理後~排卵前)
子宮の中に細いカメラを入れ、子宮内(着床する場所)を直接確認します。胃カメラと同イメージです。
超音波検査や子宮卵管造影検査などで、子宮内部の筋腫やポリープの疑い、原因不明不妊の場合などに行います。
検査予約を含めた詳細はこちら。
4⃣ 排卵日予測のための経腟超音波検査(排卵前)
卵胞の大きさと子宮内膜の厚さを計測し、排卵日の予測をします。
排卵日の予測をもとにタイミングをとすのに適した日を提示します。
※保険適応回数
・排卵誘発剤あり→1周期3回まで
・排卵誘発剤なし→1周期1回のみ
5⃣ フーナーテスト(排卵日近く)+超音波検査
排卵日近くに性交渉をもち、性交後の子宮頸管粘液中の精子を採取します。
精子の数や運動を観察し、頸管粘液と精子の相性をみます。(性交後12時間以内に外来受診)
6⃣ 黄体期ホルモン検査(排卵後5~7日目)
・E2(エストラジオール)
正常値100pg/ml以上
・P(プロゲステロン、黄体ホルモン)
正常値10ng/ml以上
排卵後の黄体から生産され基礎体温を高温に保つホルモンです。着床に重要な役割を担っています。10ng/ml以上が望ましいとされます。
7⃣ 自費採血
感染症(6600円)、クラミジアIgG・IgA(4400円)、風疹抗体検査(3300円)、抗ミュラー管ホルモン[AMH](8800円)、抗精子抗体[精子不動化抗体](7700円)など
【自費診療の血液検査】合計36,300円
全て自費検査となります。保険適応がありません。
・B/C型肝炎:3300円、梅毒:3300円
母子感染予防および医療上の感染対策
※肝炎と梅毒に関する詳細はこちら
※肝炎検査→品川区の助成制度
・クラミジアIgG・IgA:4400円
卵管不妊や腹腔内癒着の推定
・甲状腺ホルモン(TSH、抗TPO抗体):5500円
月経不順や無排卵の要因の一つとなるホルモン
・抗ミュラー管ホルモン(AMH):8800円
卵巣機能の目安を確認するホルモン
※不妊治療を行う場合は保険適用可能
・風しん抗体検査:3300円
母子感染予防および医療上の感染対策
※品川区の助成制度
・ビタミンD:3300円
着床不全対策
基準値に満たない場合にはサプリメントの服用を推奨
・貧血:2200円
年1回の会社の健診等で採血を実施している方は省略可能
男性パートナーの受診・精液検査
当院での男性検査については、精液検査と風疹抗体検査/ワクチンのみ実施しています。
上記2項目以外の検査は行っておりませんのでご了承ください。
精液検査をご希望の方へ
女性パートナーが受診されている方のみお受けしております。女性パートナーの診察時に流れや方法についてご説明させていただき、検査容器をお持ち帰りいただきます。(女性パートナーから容器を受け取り、説明を受けて下さい。)
採取方法やお持ち込みの流れなどの詳細はこちら
不妊治療保険適用について
2022.4より生殖補助医療(ART:人工授精・体外受精・顕微授精・胚移植)の保険適用を受け、可能な限り保険診を心がけて対応します。
保険診療にルールや制限があるため、妊活・不妊検査の多くは自費となりますが、東京都(または各自治体)の助成制度をご利用ください。
これまでの状況や今後のご希望により、どこまで不妊検査をするか外来にてご相談ください。
初診時の年齢が40歳未満で都内在住の方は東京都助成金、40歳以上43歳未満の品川区民の方は品川区助成金が利用できます。
詳細はこちら。
卵子凍結相談
女性の社会進出が進み、出産年齢が年々上昇し、歳を重ねても若々しい女性が増えていますが、卵巣機能は年齢とともに低下し、受精卵になる際の染色体異常の確率は増加します。
若いうちに卵子凍結をしておくことで、将来キャリアを積んでお子さんを希望されたとき、採卵時の年齢の若い卵子で現年齢より高い妊娠率を得られる可能性があります。
当院では女性医師による相談のみで、実際の卵子凍結は適切な医療機関をご提案します。
不妊検査証明書等の書類
◇東京都
東京都不妊検査等助成事業受診等証明書として、
不妊検査にかかる費用を上限5万まで助成を行っています。
年齢:検査日開始日における妻の年齢が40歳未満
詳細:東京都公式サイト
◇品川区
一般不妊治療医療費助成制度として、
不妊検査にかかる費用を上限5万まで助成を行っています。
年齢:検査日開始日における妻の年齢が40歳以上43歳未満
詳細:品川区公式サイト
◇その他自治体
各自治体ごとに検査費用の助成を行っている場合がございますので、お住いの自治体の公式サイトを確認してください。
書類作成依頼方法
自治体から不妊検査等の助成を受けるには、
検査を行った医療機関側で書類作成が必要です。
当院への作成依頼はこちらからお願いします。