当院では不妊検査・タイミング療法までを行います。
体外受精・人工受精をご希望の場合は、杉山産婦人科をはじめとするクリニックへ紹介いたします。

不妊治療保険適用について

2022.4より生殖補助医療(ART:人工授精・体外受精・顕微授精・胚移植)の保険適用を受け、当院では可能な限り保険診療にて対応します。
保険診療にルールや制限があるため、不妊検査の多くは自費となりますが、東京都の助成制度を是非ご利用ください。
これまでの状況や今後のご希望により、どこまで不妊検査をするか外来にてご相談ください。

初診時の年齢が40歳未満(都内在住)の方は、初診時から1年以内に一般検査で5万円を超えましたら東京都へ、40歳以上43歳未満(品川区内在住)の方は品川区に補助金申請が可能です。詳細はこちらをご覧ください。

男性パートナーの受診

当院では男性の診察につきましては、精液検査品川区風疹抗体検査/ワクチンのみ実施しています。
上記2項目以外の検査は行っておりませんのでご了承ください。

精液検査をご希望の方へ

女性パートナーが受診されている方のみお受けしております。女性パートナーの診察時に流れや方法についてご説明させていただき、検査容器をお持ち帰りいただきます。(女性パートナーから容器を受け取り、説明を受けて下さい。)
採取方法やお持ち込みの流れなどの詳細はこちらをご確認ください。

不妊症とは

不妊とは、妊娠を望む健康的な男女が避妊しないで性交渉しているにも関わらず、一定期間妊娠しないものを指します。
日本婦人科学会ではその期間を1年間としていますが、アメリカの生殖医学会は女性の年齢が35歳以上の場合は、6か月の不妊期間で検査することも考慮されるとしています。
不妊期間が1年未満でも早めの検査・治療を検討してみてください。

不妊症の割合
子どもを持ちたいと思っても妊娠しないカップルは5組に1組ともいわれています。
体外受精で生まれる子どもは年々増加しており、2021年(2023年時点での最新データ)には11人に1人となりました。

不妊症の原因
不妊の原因は複数の因子が重複していたり、検査上は原因不明の方も沢山いらっしゃいます。
◆女性側◆
『排卵因子(排卵障害)』『卵管因子(閉塞/狭窄/癒着)』『子宮因子(子宮筋腫/内膜ポリープ)』『頸管因子』『免疫因子(抗精子抗体など)』等
男性側◆
『造精機能障害(精子の数が少ない、運動率が低い)』『性機能障害(勃起や射精がうまくいかない)』『精路通過障害(精子の通り道に異常があり精液中に精子がいない)』等。

不妊症のリスク因子
◆女性側◆
『月経異常(月経周期の異常/量の異常/月経困難症)』『性感染症(クラミジア/淋菌等)』『骨盤腹膜炎の既往』『子宮筋腫』『子宮内膜症』『年齢(35歳以上)』等。
子宮内膜症は症状にもよりますが、1周期あたりの妊娠率が子宮内膜症がない方の10分の1といわれ、また不妊症の方の20~50%に子宮内膜症を認めると言われています。
◆男性側◆
『精索静脈瘤』『停留精索静脈瘤』『停留睾丸』『鼠経ヘルニア術後』『おたふくなど高熱による睾丸炎の既往』『前立腺炎』『放射線治療や抗がん剤の既往』等。
また日常生活において、肥満、喫煙、寝不足などの不規則な生活や不健康な食事等も原因となるので、日頃から注意が必要です。

不妊検査

女性側

排卵日予測のための経膣超音波(エコー)検査(排卵前)
卵胞の大きさを確認し、排卵日を予測します。排卵日の予測をもとにタイミングをとるのに適した日をご案内します。
※保険診療でのエコーは、排卵誘発剤を使用している場合は1周期3回、使用していない場合は1周期1回まで排卵予測目的で実施可能です。

②生理中ホルモン採血(生理2~5日目)
FSH(卵巣刺激ホルモン)

下垂体前葉から分泌される卵胞発育や排卵に必要なホルモンです。基準値として通常、卵胞発育前の月経3日目頃に値を測定します。10IU/L以下が望ましく、高値の場合、卵巣機能が低下していることが予測されます。
LH(黄体ホルモン)
下垂体前葉から分泌される卵胞発育や排卵に必要なホルモンです。排卵時期になるとLHサージという急激な一過性の高値となります。FSH同様、卵胞発育前の月経3日目頃に値を測定します。10IU/L以下が望ましく、FSHと合わせて高値の場合、卵巣機能が低下していることが予測されます。LH>FSHの場合は多嚢胞性卵巣症候群等の排卵障害が予測されます。
PRL(プロラクチン、乳汁分泌ホルモン)
下垂体前葉から分泌される乳汁分泌に必要なホルモンです。高値の場合、卵胞発育の際に良い卵が発育しないことや卵胞発育を認めないこともあります。また着床障害など妊娠成立に不都合を生じることがあります。著しく高値の場合は精査の必要があります。30ng/ml以下であれば正常です。
E2(エストラジオール)
E2は主に卵胞の顆粒膜細胞から分泌されます。卵胞発育とともに分泌されるホルモンのため、低温期では50pg/ml以下であれば正常と考えます。低温期では子宮内膜の発育や頸管粘液分泌に関係します。

③卵管通水検査(生理後~排卵前まで)
生理食塩水を子宮の入り口から注入し、子宮の内腔を充満させることによって、子宮の内膜の状態、ポリープや粘膜下筋腫の有無などの確認し、生理食塩水が左右の卵管にスムーズに入っていくかによって、卵管の通りを評価する検査です。
※当院では卵管造影検査は行っておりません。

子宮鏡検査(生理後~排卵前まで)
子宮の中に細いカメラを入れて、子宮内部を直接確認します。着床する内膜に子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮内膜ポリープなどといった異常がないかを検査します。イメージ的には胃カメラと同じですが、麻酔を必要とせず外来で施行可能です。超音波検査や子宮卵管造影検査などで子宮内部の筋腫やポリープが疑われる場合や原因不明不妊の場合に行います。予約等の詳細はこちら

⑤フーナーテスト(排卵日前後)+超音波検査
性交後検査とも呼ばれます。排卵日前後に性交渉をもち、性交後の子宮頸管粘液中の精子を採取して、精子の数や運動を観察して頸管粘液と精子の相性をみる検査です。検査の約12時間前までに性交渉をもったあと外来受診し、子宮頸管から粘液を注射器などで採取し、顕微鏡で確認します。

⑥黄体期ホルモン検査(排卵後5~7日目)
E2(説明②参照)
P(プロゲステロン、黄体ホルモン)
排卵後の黄体から生産され基礎体温を高温に保つホルモンです。着床に重要な役割を担っています。10ng/ml以上が望ましいとされます。

⑦自費採血
各種感染症、クラミジアIgG・IgA(過去の感染既往)、風しん抗体価、抗ミュラー管ホルモン(AMH)、抗精子抗体など

男性側

精液検査
精液量、精子濃度、運動率、精子の形態などを検討します。
マスターベーションにて全量を採取します。
異常を認める場合は、男性不妊専門医にて血液検査(ホルモン検査)や超音波検査が行われます。
禁欲期間:1~4日以内
保温:20~25℃
採精後:2時間以内(上記温度に保たれていれば概ね状態が保たれます)

不妊治療

不妊治療にはタイミング法、排卵誘発法、人工授精、体外受精(顕微授精など)があります。
また内視鏡手術(子宮鏡、卵管鏡、腹腔鏡)も行われます。

①タイミング法
排卵を予測して、性交のタイミングを合わせる方法です。
超音波にて卵巣内の卵子が入っている卵胞という袋の大きさを測定します。
通常20mm程度で排卵するため、補助的に尿検査にて排卵を促すホルモン(LH)を測定し、排卵日を推定します。排卵の2日前から排卵日までが妊娠しやすいです。

②排卵誘発法
排卵誘発剤といわれる内服薬や、注射を用いて、卵巣を刺激し排卵を起こす方法です。
通常は無排卵や排卵しにくい方に用います。

③内視鏡手術 ※他院へご紹介
卵管鏡は卵管閉塞にチューブを通して、閉塞している卵管を通過させ、その後の自然妊娠を期待します。
腹腔鏡は検査目的に施行する場合もあり、卵管周囲の癒着や子宮内膜症などを診断し、観察時に同時に癒着剥離や卵巣嚢腫摘出や卵巣嚢腫焼灼を行います。

④人工授精(AIH) ※他院へご紹介
人工授精は受精卵のできる卵管膨大部に、排卵日に合わせて十分な精子を送るために子宮空内に精子を注入する方法です。
通常は精子を洗浄することで、子宮収縮を促すプロスタグランジンなどを取り除き運動性の良い精子を集めて0.2-0.5ml程度を排卵日に子宮内に注入します。
乏精子症、精子無力症、性交障害、フーナーテスト不良などが良い適応です。
ただ調整後の運動精子が200~500万以下の場合は、体外受精(顕微授精)が勧められます。
状況により誘発剤(内服薬や注射)を使用し、排卵に合わせて人工授精(AIH)を行います。
人工授精は6回程度で新たに妊娠してくる方が少なくなるため、体外受精(顕微授精)への切り替えを検討します。

卵子凍結相談

女性の社会進出が進み、出産年齢が年々上昇し、歳を重ねても若々しい女性が増えていますが、卵巣機能は年齢とともに低下し、受精卵になる際の染色体異常の確率は増加します。
若いうちに卵子凍結をしておくことで、将来キャリアを積んでお子さんを希望されたとき、採卵時の年齢の若い卵子で現年齢より高い妊娠率を得られる可能性があります。
当院では女性医師による相談のみで、実際の卵子凍結は適切な医療機関をご提案します。

不妊検査等助成事業受診等証明書(東京都)

東京都の助成により、条件を満たせば5万円を上限に助成金の申請が可能です。

●検査開始日までに法律婚または事実婚の関係にあること
法律婚
検査開始~申請日まで、夫婦いずれかが継続して都内に住民登録がある
事実婚
①検査開始~申請日まで、夫婦いずれかが継続して都内に住民登録がある
②検査開始~申請日までの間、他に法律上の配偶者がいない
③検査開始~申請日までの間、事実婚の届け出をしている
●検査開始日における妻の年齢が40歳未満であること
※夫婦いずれか早い方の検査開始を起点とする
●対象期間内に保険医療機関で夫婦ともに助成対象の検査を受けている

注意事項

●検査にかかる費用が5万円を超えた段階で記入依頼をしてください。
--都への申請期限は検査開始日から1年以内です。
--複数の医療機関で治療を受けた場合は合計金額で考えます。
--ご妊娠または治療中止をされる場合は5万円に満たなくても申請可能です。
●複数の医療機関で治療を受けた場合はそれぞれの場所で記入が必要です。
●助成上限回数、都への申請方法など、より詳細な条件等は公式サイトからご確認ください。

一般不妊治療医療費助成制度(品川区)

品川区の助成により、条件を満たせば5万円を上限に助成金の申請が可能です。
東京都の助成事業では40歳未満の方が対象となる一方で、品川区では40歳以上43歳未満の方が対象です。
対象者条件・申請方法などは公式サイトをご覧ください。

書類記入の依頼方法/料金

料金や記入期間、注意事項などの詳細、当院への記入依頼申請はこちらから。