おりもの異常の原因はさまざまですが、
カンジダや細菌性膣炎など性交渉をしなくても体調の変化などで炎症を起こしてしまうものと、
STD(性感染症)のように、性交渉によってうつるもの(クラミジア・淋菌・梅毒・性器ヘルペス・尖圭コンジローマ・膣トリコモナス症・HIV・B型肝炎・C型肝炎)などがあります。
STD予防にはコンドームが有効ですが、全てを予防できるわけではありません。
STDは異常なおりものや腹痛・腰痛・かゆみなどの原因になります。
治療が遅れると、日常生活を快適に遅れないばかりか、完治までに時間がかかったり、将来不妊の原因にもなります。
肝炎やHIVは慢性疾患として長期のフォローが必要となるため、早めの診断および治療が必要です。
診断のため、採血による検査や内診、状況に応じて咽頭の検査(うがい)を行います。
また、保険診療では同日に複数の検査が出来ないなど、細かい規定があります。
1回で可能な限りの検査を済ませ、結果は受診せずにアプリで確認したい方はSTDセットでの検査をお勧めします。(結果に異常があった際は保険治療に切り替えてご案内します)
性器カンジダ症
カンジダ属の真菌というカビの一種が原因となって起こる性器の感染症です。
女性性器感染症の中で日常頻繁にみられる主要な疾患で、75%の女性が生涯で少なくとも1回は罹患するといわれています。
感染してもすぐに発症するわけではなく、風邪、疲労、ストレスなどで免疫力が低下した時、ステロイド剤、抗生物質の内服後などに症状が出ることが多いです。再発を繰り返すこともあります。
症状
白くポロポロとした塊のおりもの(ヨーグルト様やカッテージチーズ様などと例えられます)、外陰部のかゆみ、性交痛、排尿障害などがあります。
治療
白くポロポロとした塊のおりものが明らかに確認される場合には、必要に応じて腟内を洗浄し、腟錠(腟に入れる錠剤の薬)を挿入します。
この腟錠は、1週間ほど効果が持続し、大半の人は症状が改善します。翌週も症状が持続している場合には、追加治療を行います。
外陰部のかゆみの症状もある場合には、クリーム剤を併用して治療を行います。診察時に外陰部の状態を確認し、必要に応じて他の原因菌による混合感染がないか確認するために、おりものの培養の検査を行います。この検査は腟を綿棒でぬぐうだけなので、痛みはありません。
細菌性腟炎
腟の中には多くの細菌が常在しています。細菌の一種である乳酸桿菌によって、腟は適度な酸性に維持されています。この働きが腟内の健康を保ち、感染を起こす一部の細菌の増殖を阻止しています。
細菌性腟炎は最もよくみられる腟感染症で、防御機能を持つ乳酸桿菌の数が減少し、他の常在細菌が増加することにより発症します。このような変化が起こる理由や、細菌性腟炎が性行為によって感染するかどうかはわかっていません。
症状
灰色や白色のさらさらしたおりものが増加します。また、おりものが生臭いにおいを伴うこともあり、性交後や月経中にこのにおいが強くなることがあります。
治療
抗生物質の内服薬または錠剤(腟に入れる錠剤の薬)を使用します。
細菌性腟炎に使用する抗生物質(内服、錠剤ともに)はアルコールとの併用ができません。
抗生物質をしようしている期間中に飲酒をした場合、強い腹痛や吐き気、頭痛、動悸などの症状が現れる可能性があります。
抗生物質の使用期間が終わり、症状が消失後から飲酒可能になります。
性器クラミジア感染症
性感染症(性病)の一種で、日本で最も多い性感染症です。
クラミジア・トラコマティスという病原菌が性器やのど、直腸などに感染して炎症を起こします。
ほとんどの場合自覚症状がなく、感染に気付かないことがよくあります。
気づかないままパートナーへ移してしまうこともあります。
つまりパートナーから感染することもあります。
感染が進行すると不妊症や母子感染など様々な病気の原因にもなるため、きちんと治療をする必要があります。
感染経路
性行為(オーラルセックス、アナルセックス含む)により感染します。
精液や腟分泌液、感染した箇所の粘膜に存在するクラミジアが、相手の粘膜に接触して感染します
症状
ほとんどの場合自覚症状がなく、特に女性は無症状である場合が多いです。
おりものが少し増えたり、下腹部痛、不正出血などがみられる場合もあります。
男性も症状は軽いことが多く、尿道がむずがゆくなったり、排尿時の軽い痛みなどがみられる場合もあります。
治療
抗生物質を内服(1回4錠を飲み切り、1回の内服で終了します)します。
パートナーがいる場合には、パートナーも同様の内服治療が必要になります。
どちらか一人が内服するだけではピンポン感染(菌を移しあう)して、治療が完了できません。
放っておくとどうなるか(女性の場合)
感染したまま放置すると、徐々に進行していきます。
クラミジアが体の奥へと進んでいき、卵管炎や卵巣炎、骨盤腹膜炎をおこし、PID(骨盤内炎症性疾患)を発症します。
卵管炎を起こすと、卵管が上手く働かなくなり不妊の原因となります。
淋菌感染症
淋菌という病原菌が、性器やのど、直腸などに感染して起こる、性感染症(性病)の一種です。
1回の性行為での感染率は20~50%と高く、淋菌に感染した人のうち、クラミジアに同時感染している人が20~30%いると言われています。
感染が進行すると子宮内膜炎や卵管炎、腹膜炎など様々な病気の原因にもなり ます。
感染経路
性行為(オーラルセックス、アナルセックス含む)により感染します。
精液や腟分泌液、感染した箇所の粘膜に存在する淋菌が、相手の粘膜に接触して感染します。
淋菌を含む体液がついた手で目をこすったりすると、目に感染することもまれにあります。
症状
女性は男性に比べて自覚症状が少ないことが多く、気づきにくいです。
緑黄色の濃いおりものや尿道から膿(うみ)がでる場合もあります。
のどの粘膜に感染すると、喉の腫れや痛み、発熱がみられる場合もあります。
感染に気付きにくいため、潜伏期間ははっきり分かりません。
治療
おりものの培養の検査を行い、淋菌感染症の感染の有無を確認します。
淋菌感染を確認後、抗生剤の点滴投与を行います。
通常は1回の点滴投与(約30分)で治療が終了します。
淋菌感染症は、薬が効かない薬剤耐性菌が増えて治療薬が限られています。
確実に有効で、保険適応可能な抗生物質を使用します。
梅毒
梅毒は梅毒トレポネーマという細菌が感染することで起こる感染症です。
性行為で粘膜や皮膚の小さな傷から感染します。
感染すると、性器や肛門、口にしこりができたり、全身に発疹が現れたりしますが、
一旦症状が消えるため治ったと間違われることがあり、発見が遅れる危険があります。検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあります。
また梅毒はHIV感染リスクを高める可能性があります。※全国的に近年、梅毒の感染者数が増加しています。
症状
梅毒は感染した後、経過した期間によって症状の出る場所や内容が異なります。
●第一期
感染後約1か月で、感染した場所(性器、肛門、口など)にできもの、しこり、ただれなどができます。
治療しなくても、数週間で症状は消えます。
●第二期
感染後3か月程度経つと、手のひらや足の裏など全身に発疹ができます。
治療しなくても、数週間から数か月で症状は消えます。
●潜伏梅毒
症状がないまま何年も経過することがありますが、皮膚や内臓で病気は静かに進んでいます。
治療
抗菌薬が有効です。
菌を死滅させることはできても、臓器などに生じた障害を元に戻すことはできません。
早期の治療が大切です。パートナーも検査を受け、感染していたら治療することが重要です。
性器ヘルペス
単純ヘルペスウイルス(HSV)の1型または2型の感染によって、性器周辺に浅い潰瘍性または水泡性病変を形成する病気です。
HSVは性器に感染すると、神経を伝って上行し、主として腰仙髄神経節などに潜伏感染します。
潜伏感染したHSVは何らかの刺激によって再活性化され神経を伝って下行し、再び皮膚や粘膜に現れ、病変を形成します。
感染経路
ヘルペスの症状が出ている部分との接触により感染します。
症状が出ていないときでも、性器の皮膚や粘膜にウイルスが出てきて、パートナーに感染することもあります。
また口唇ヘルペスの症状があるときに、オーラルセックスをすると相手の性器に感染します。
症状
体調や疲労などによって症状が出る場合もあり、
初めて感染した場合は症状が強く出やすいと言われています。
水膨れや潰瘍ができます。強い痛みによる排尿痛や発熱を伴うこともあります。
同時に太もものリンパ節の腫れや痛みが見られることもあります。
2回目以降、再発の際には、膣の入り口の違和感や太もも周辺に神経痛のような痛みなどの前兆がみられることもあります。
再発の際は初めての感染の場合よりも症状が軽いことが多く、治るまでの期間も短くなります。
治療
抗ウイルス薬を内服します。症状の程度によっては軟膏も併用します。
原因のウイルスを完全に死滅させることができないので、症状を抑えることしかできません。
再発しないよう睡眠不足やストレスなど体調管理に気を付けましょう。
尖圭(せんけい)コンジローマ
低リスク型HPV(ヒトパピローマウイルス6型・11型)の感染による性感染症(性病)の一種です。
子宮頸がんの原因となる高リスク型HPVとは別の型のウイルスです。
感染経路
HPVは、性行為(オーラルセックス、アナルセックス含む)により、皮膚や粘膜の傷口から感染します。
HPVの潜伏期間が数週間~8か月と長いため、感染源の特定が難しいことも少なくありません。
症状
性器周辺やや肛門周辺に小さなとがったイボ(カリフラワー状などと例えられます)ができることが特徴です。
はじめは小さく先がとがった形をしたイボですが、放っておくとイボが大きくなっていき、数も増えていきます。
そしてイボ同士がくっつくことでカリフラワーのような形状になります。
膣の内側にイボができることもあるため、発見が遅れることもあります。
これらのイボにはかゆみや痛みはありません。
尖圭コンジローマは性器だけでなく口やのどにも感染、その場合にも感染部位にイボが現れます。
治療
治療方法は外科療法と薬物療法の2種類あります。
外科療法では電気メスやレーザーで焼却したり、液体窒素によって凍結したりします。
薬物療法の場合には、軟膏を使用します。
現時点では尖圭コンジローマを完全に体内から排除する方法はありません。
治療を行ってもウイルスが残ってしまうため、治療をしてイボを取り除いても、何度も再発を繰り返す恐れがあります。
膣トリコモナス症
性感染症(性病)の一種で、腟トリコモナス原虫(微生物)という、肉眼で見分けることができない原虫が性器内に入り込み炎症を起こします。
性行為による感染が主ですが、下着・タオル・便器・浴槽での感染の可能性があります。
症状
白色から黄色の泡状の悪臭の強いおりもの、増加や外陰部や腟の痛みや強い痒みなどがあります。
感染者の20~50%が症状を感じないとも言われています。
感染しやすいこともあり、パートナーとのピンポン感染(菌を移しあう)の原因にもなります。
治療
抗生物質の内服薬または腟剤(膣に入れる錠剤の薬)を使用します。
腟トリコモナス症に使用する抗生物質(内服、腟剤ともに)はアルコールとの併用ができません。
抗生物質を使用している期間中に飲酒をした場合、強い腹痛や吐き気、頭痛、動悸などの症状が現れる可能性があります。
抗生物質の使用期間が終わり、症状が消失後から飲酒可能になります。
HIV/エイズ
HIVとエイズの違い
●HIV感染
体の中にHIV(ヒト免疫不全ウイルス)が存在している状態をいいます。
自覚症状がほとんどないので、本人が気づくことは困難です。
感染した後、未治療でいると数年から十数年でエイズを発症すると言われています。
●エイズ(AIDS)
エイズとはHIVによって体の免疫力が低下し、その結果として日和見(ひよりみ)感染症など様々な合併症が出た状態をいいます。
ただしその場合も合併症の治療を行い、また、HIV感染の治療により免疫力を回復させることができます。
※日和見(ひよりみ)感染とは
免疫の力が弱くなったために、普段なら病気を起こさないような弱いカビ、細菌、ウイルスなどの病原体による症状を抑えきれずに、感染症が起きることを言います。
HIVの症状
●急性期
HIVに感染して2~4週間経過すると、発熱、咽頭痛、筋肉痛などインフルエンザ様症状が出てきます。
これらの症状は多くの場合、自然に消えます。無症状のこともあります。
●無症候期
体の免疫力で、居留守料はある一定のレベルまで減少したところで安定し、その後数年~十数年程度は症状なく経過します。
●エイズ発症期
治療をしないでいると、HIV感染により免疫力が低下し、健康な時にはかからない弱い病原体によってもかかる日和見感染症(ニューモシスチス肺炎や食道カンジダ症など)や悪性腫瘍の症状が現れます。
HIVの治療
服薬治療により、エイズの発症を抑えられることから、感染を早く知って、治療を始めることが大切です。
HIV感染症を根治する薬はまだ開発されていないため、服薬の継続が重要です。
治療により、ウイルス量が検査で測定できないほどわずかな量にまで抑えることができ、他の人への感染の可能性をとても低くすることができます。
B型肝炎 ※品川区検査可
B型肝炎は、B型肝炎ウイルスに感染することによって生じる肝臓の病気です。
急性と慢性に分けられます。
母子感染では90%が慢性化し、大人になってからの感染で慢性化するのは2~6%と言われています。
20~50歳代成人の旧姓B型肝炎の感染経路として性行為は重大な感染経路です。
慢性化すると、肝硬変や肝がん等、健康に重大な影響を及ぼします。
予防には、予防接種が効果的です。
症状
●急性
症状は比較的ゆっくり出ます。
微熱、食欲不振、だるさ、吐き気・嘔吐、みぞおちの右側の痛み、お腹が張るなどの症状がみられ、続いて黄疸が出てきます。
多くの場合は、これらの症状は1か月程度で回復します。
●慢性
免疫がまだ十分でない乳幼児や、抵抗力が弱っている大人が感染するとウイルスキャリアとして慢性化します。
はっきりした症状が出ないまま、気が付かないうちに肝硬変や肝がんに進行します。
治療
B型肝炎は自然に回復することも多いため、安静にしてしばらく様子を見ます。
肝炎の症状が強く出ている場合やB型肝炎ウイルスが体内から排除されなかった場合には、薬物療法が行われます。
薬物治療でウイルス量を減らし、肝障害の進行を抑えることができるため、早期に発見・治療することが大切です。
品川区検査が可能です
品川区に在住の方で、過去にウイルス検査を受けたことがない方は無料(品川区負担)で検査が可能です。
詳しくはこちらをご覧ください。
C型肝炎 ※品川区検査可
C型肝炎はC型肝炎ウイルス(HCV)に感染することによって生じる肝臓の病気です。
C型肝炎ウイルスは(HCV)感染者の血液が体内に入ることから感染します。
現在HCVに感染している方は、過去の輸血や使いまわしの注射などが原因と考えられます。
また、今は日常的な生活の場でHCVに新たに感染することはほとんどないと考えられています。C型肝炎はB型肝炎に比べて性的接触による感染率は低いとされていますが、予防は必要です。
約30%の人は自然治癒し約70%の人が、慢性肝炎へと移行します。
将来肝硬変や肝がんのリスクが高いため、消化器内科の専門医にて治療が必要となります。
症状
C型肝炎に感染した人のほとんどが無症状で過ごします。
症状がある場合には、食欲不振、腹痛、倦怠感、色の濃い尿などがみられます。
感染した人の80%程度が慢性肝炎となり、倦怠感などの自覚症状が長く続きます。
さらに10~20%の人が長い時間をかけて肝硬変や肝がんへ進行します。
品川区検診が可能です
品川区に在住の方で、過去にウイルス検査を受けたことがない方は無料(品川区公費)で検査が可能です。
詳しくはこちらをご覧ください。