「フェムテック」という言葉、ご存じですか?
フェムテック(femtech)とはFemale(女性)+Technology(技術)を掛け合わせた造語で、女性の健康問題をテクノロジーで解決する製品やサービスのことです。
月経困難症及び月経前症候群(PMS:premenstrual syndrome)による女性のパフォーマンス低下で1年間に4900億円の損失といわれ、治療することで1年間に2400億円の経済効果があるといわれています。

月経困難症の原因を知り、ピルやホルモン剤などをうまく使って、生理痛から解放されませんか。
学業・仕事・趣味など思う存分満喫できるようサポートをいたします。(中高生や血栓リスクがある方には、骨塩量や血栓に影響を及ぼさないお薬もあります)

また、当院では専門医による月経困難症・PMS外来を設けています。
専門医による診察をご希望の方は「小川医師」の枠よりご予約をお取りください。
※小川医師の予約枠は月曜午前中のみ
※予約前日までにWEB問診回答必須
▷予約はこちら

★小川医師によるインタビュー記事が公開されました★
『婦人科医に聞く 働きながら生理・PMSに付き合う方法』

月経困難症

月経困難症は女性の25%以上に認められ、若い女性に限ると40%以上といわれています。
とても多くの女性がそれにより最高のパフォーマンスができなくなっています。

月経痛とは、卵胞発育に伴い増殖した子宮内膜がはがれる際にプロスタグランジンという物質が産生され、その作用で子宮を収縮させて月経血を排出させる合理的な作用ですが、子宮の筋肉の血管を攣縮させて子宮筋の低酸素状態を招くことから痛みを発生するといわれています。

月経困難症には、器質的な疾患がないのに月経時に痛みを伴う機能性月経困難症と、子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症・子宮奇形といった疾患によって月経時に痛みを伴う器質性月経困難症があります。
初経後2~3年経って排卵するようになると月経困難症が起きやすくなるといわれていますが、初経を迎えたばかりの頃は、子宮が小さいために固い頸管を月経血が流出する際に神経反射による痛みを生じたり、月経をネガティブにとらえることによって痛みを生じたりすると考えられています。
若年女性は機能性月経困難症が多いと考えられていますが、機能性と思われる方のうち、かなりの方が子宮内膜症による器質性月経困難症によるといわれています。
また機能性月経困難症は将来子宮内膜症を発症する可能性が高いといわれています。

治療

痛みに対する治療が主ですが、ピルへの抵抗がある場合は鎮痛剤を投与することが多いです。
鎮痛剤でコントロールが難しい場合・今後内膜症への移行が懸念される場合・ピルの副効果をメリットと捉えていただけ場合は、ピルを用います。ピルの種類によって保険適用が可能です。
最近では、28日周期で月経を起こさずに数か月連続投与可能なピルも保険適応になっており、学校生活やイベント・ライフスタイルに合わせて、月経の時期を自ら調整することが可能です。

月経前症候群(PMS:premenstrual syndrome)

PMSとは月経前の3~7日間に現れる体や心の不調で、月経開始ともに消失するものを言います。
PMSがどういうものかを知らずに、日常生活に支障をきたしている方も多くいます。
月経前の不調でお困りの方は、ぜひ外来にてご相談ください。一緒に解決策を見つけましょう!

原因

PMSの原因はわかっていませんが、女性ホルモンの変動が関わっていると考えられています。
排卵がある女性はエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンが分泌されますが、排卵後の黄体期後半にエストロゲンとプロゲステロンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが、PMSの原因と考えられています。
このようにPMSは女性ホルモンが乱れているから起こるのではなく、女性ホルモンが正常に働いているからこそ起こります。
ただ、ホルモンや神経伝達物質はストレスなどの影響も受けるために、PMSは女性ホルモンの低下だけではなく多くの要因から起こると考えられています。

症状

PMSの精神神経症状として、情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害などがあります。
お子さんやパートナーに怒りやすくなる方もいます。
PMSの自律神経症状としては、のぼせ、食欲不振、過食、めまい、倦怠感、PMSの身体的症状としては腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、おなかの張り、乳房の張りなどがあります。
特に精神症状が強い場合は月経前気分障害(PMDD:premenstrual dysphonic disorder)の事もあります。
いくつもの症状が重なって起こることも多く、個人個人によっても症状が異なります。

診断方法

PMSの診断方法は症状が月経周期に伴い毎月現れ、月経開始とともに和らぐことが特徴です。
症状を記録し、月経との関連を確認し、PMDDやうつ病ではないことを確認します。
日本人女性の約80%にPMS何らかの症状があり、そのうちの5%が生活に困難を生じるほど強いPMSを示します。

治療法

治療法には薬によらない方法薬による方法があります。

●セルフケア・サプリメント
・症状を記録する
毎日の心身の状態と月経について記録してみましょう。自分がいつどのような状態になるのかを知ることができます。
・(喫煙していれば)禁煙
・適度に運動をする
・しっかり睡眠をとる
・きちんと食事をとる

炭水化物(特に玄米などの低GI食品)やタンパク質をとりましょう。一方、砂糖を含むもの、刺激物、アルコールは月経前はなるべく控えましょう。
・サプリメント
γ-トコ複合食品などが市販されています。大塚製薬さんが出している「トコエル」は当院でもご購入が可能です。

●お薬を使った治療
・チェストベリー
西洋ハーブの一種で、薬局でOTC医薬品として販売されています。
・漢方薬
気血水のバランスを整えて、諸症状を改善します。
・低用量ピル(OC/LEP)
排卵を抑えることで、PMSを含むホルモンの変動による諸症状を改善します。月経痛などにも効果があります。様々な種類がありますが、中でもドロスピレノンという黄体ホルモンを含む製剤が、そして、飲み方としては、月経の回数を減らす“連続投与”が効果が高いとされています。
・SSRI
いわゆる抗うつ薬ですが、PMS/PMDDの症状改善にも広く使われています。月経前の2週間だけ内服する用法がよく使用されます。
・その他
むくみが強い方には利尿薬も使われます。また、上記の方法で効果がないときは、さらに強く排卵を抑える方法などが行われることがあります。

診察の流れ

①WEB予約・WEB問診
当院は専門医によるPMS外来を設けていますので、ご希望の方は月曜午前中(2024年4月以降は毎週金曜日)の「小川医師」の枠からWEB予約をお取りください。
予約前日までにWEB問診の回答が必須です。

②内診と超音波検査
※超音波は一般的には経腟ですが、ご希望により経直腸もしくは経腹に変更可能です。
内診は患者様の同意が得られ場合のみ、可能な範囲で行います。

③薬剤(ピルやホルモン剤等)のご提案
※以後のオンライン診療についてはご相談ください。