・PMSとは

PMSとは月経前の3~7日間に現れる体や心の不調で、月経開始ともに消失するものを言います。PMSがどういうものかを知らずに、日常生活に支障をきたしている方も多くいます。

・PMSの原因

PMSの原因はわかっていませんが、女性ホルモンの変動が関わっていると考えられています。排卵がある女性はエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンが分泌されますが、排卵後の黄体期後半にエストロゲンとプロゲステロンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが、PMSの原因と考えられています。このようにPMSは女性ホルモンが乱れているから起こるのではなく、女性ホルモンが正常に働いているからこそ起こります。ただ、ホルモンや神経伝達物質はストレスなどの影響も受けるために、PMSは女性ホルモンの低下だけではなく多くの要因から起こると考えられています。

・PMSの症状

PMSの精神神経症状として、情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害などがあります。お子さんやパートナーに怒りやすくなる方もいます。PMSの自律神経症状としては、のぼせ、食欲不振、過食、めまい、倦怠感、PMSの身体的症状としては腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、おなかの張り、乳房の張りなどがあります。特に精神症状が強い場合は月経前気分障害(PMDD:premenstrual dysphonic disorder)の事もあります。いくつもの症状が重なって起こることも多く、個人個人によっても症状が異なります。

・PMSの診断方法

PMSの診断方法は症状が月経周期に伴い毎月現れ、月経開始とともに和らぐことが特徴です。症状を記録し、月経との関連を確認し、PMDDやうつ病ではないことを確認します。

日本人女性の約80%にPMS何らかの症状があり、そのうちの5%が生活に困難を生じるほど強いPMSを示します。

・PMSの治療法

治療法には薬によらない方法と薬による方法があります。

PMSの薬によらない方法として、症状日記をつけ病状を理解し把握することで対処しやすくなります。気分転換や自分が心地いいと思えるセルフケアを探します。またカルシウムやマグネシウムを積極的に摂取し、カフェイン、アルコール、喫煙は控えた方がいいといわれています。

PMSの薬による治療には排卵を抑える方法や症状に対する治療また漢方療法があります。

PMSの原因が排卵による女性ホルモンの大きな変化なため、低用量ピルやLEP(保険適応のピル)により排卵を止めることで症状が軽快します。従来のピル(LEP)は1か月に1回周期的に月経が起きるように調整されますが、月経を3-4か月するLEPが発売されており、月経が3-4か月に1回しか来ないため、月経に伴うPMSの回数も減らすこともできます。低用量ピルやLEPは服用をやめるとすぐに排卵が回復し、その後の妊娠には影響ありません。

また痛みに対しては鎮痛剤、むくみに対してアルドステロン療法、精神症状や自立神経症に対して、精神安定剤やSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)などを使用します。SSRIは即効性があることも多く、月経前のみ周期的に内服する方法もあります。

 また、血栓等が心配でピル(LEP)を使用したくない方は、漢方薬を試してみる方法もあります。

・PMSでお悩みの方へ

月経前の不調でお困りの方は、ぜひ外来にてご相談してください。ともに解決策を見つけましょう。